梁の上から


徒然なる侵入

その日は休日で、特にする事も無かったので、ただ椅子に座り、足を机に載せ、時報替わりのテレビを聞くとも聞かぬともなしに襲い来る眠気にただ身を任せていた。
世間体などとうに捨てた小生といえども、やはり土日祝日というものはやはり羽を伸ばせるもので、うつらうつらと、呑気に意識と無意識の間を彷徨っていた。その後起きる事件など知る由も無く。

腹の空き具合や、それなりに埃の溜まってきた部屋の掃除について、今の時間など、あれこれ考えていられたのもつかの間、すぐさま思考などぼんやりとしたものとなっていった。
寝ては醒め、醒めては寝てを繰り返し、これまた繰り返しの内の一瞬であったはずの、さぁ今の時間はと気になったその時だった。
そこで事件が起きた。それはテレビの音声であった。それを耳にした瞬間、小生は無意識の内に、或いは意識も手伝ったのだろうか、ともかく即座に目が覚めた。信じられぬ思いと共に。何かに追い立てられたように。

その時テレビでは「気になるニートは・・・」などと発していた。瞬時にして睡魔は僅かばかりの痕跡も残さず、どこかへと去っていた。小生は決して、決してニートではないのだが、何か心に引っ掛かるものがあったのだろうか。最早理屈の外の出来事のようであった。
そして小生は我ながら驚くほどの機敏さで画面を見やっていた。何事か、と。

果たしてテレビ画面には第一位、第二位、第三位などと表示されていた。何らかの順位付けを行っていたのだった。
そして音声では次にこう発したのであった。「さて一位は・・・」などと。小生の焦燥など知らぬように。

成程、先程の「気になるニートは・・・」は実の所「気になる二位とは・・・」だったのか。
単なる順位付け番組の一幕であったという簡単な真実に安堵するも、苦笑を禁じ得なかった。単なる勘違い。それも自分とは全く、全く以て関係ない事であるのに。何ら小生に落ち度は無いのに。
であるはずなのに、何か釈然としないものが心に残った。してその後はずっと、腑に落ちないものを抱え込む事になり、惰眠を貪る気など消え失せてしまっていた。そして小生はネットの海へと向かったのだった。正体の分からぬ苦い思いと共に。

2016/2/24
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