梁の上から


ふとした深夜に

丑三つ時には魑魅魍魎が云々なんてアレがあるが、実の所深夜に飛揚跋扈するのはむしろ人間の方ではないだろうか。深夜という時間帯の性質上、あちらで酔っぱらっているとか疲れているとかして正気を失っている人間が家路についているかと思えば、こちらで昼間だとどうしても出歩きづらい人間が我が物顔で徘徊している。

新宿等の大都会ともなれば話が別だが、上記のような深夜に出歩いている者同志が出くわしたとしたらどうだろう。お互い真っ当な人間である確率は低いだろうし、何より他に人間が居るだなんて思ってもいないだろう。きっと、面にこそ出さないだろうが両者ともかなり驚くに違いない。
実際、小生も深夜自室でパソコンなどを弄っている時に外から急に聞こえてくる怒声や話し声、何者かが熱唱しながら駆け抜ける様に驚く事があるし、深夜出歩いている時にもただ無為にぶらついていたり気分良く歌を口ずさみながら出歩いていたりすると予期しない対向者に肝を冷やしたりする事がある。勿論、向こうも小生のような人間に遭遇するとは夢にも思っていないだろうから驚いたに違いない。

そして、そのような体験をした人間が、面白おかしく「妙な者に会った」等と言えば、それに尾ひれが付く事もあろう。或いは、深夜にただ無為にぶらついているというのはそれだけで少しまともでない所がある人間だとされる。子供をそういった人間にさせない為、戒めとして「魑魅魍魎が跳梁跋扈する」などという事もあろう。きっとそんな所から丑三つ時の話は生まれたのだろう。魑魅魍魎と同じく深夜型の人間として、ふと深夜にそんな事を考えたものである。

2014/8/10
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