梁の上から


定番の非リアネタ

もうすぐクリスマスだ。テレビで、ラジオで、小売店の店内放送で、クリスマスソングがかかり、特集が組まれ、否応無しに我々はそれを意識させられる。小生のアルバイト先でも既に流れている。
受け取り方は人によって様々だろう。子どもへのプレゼントはどうしよう、恋人と特別な時間()を過したい、糞カップルめ変なもん見せやがって、仕事だよ・・・etc。
さてそんな時期において文章やら何やらで自己表現をする場所で活発になるのが、「今年も一人だよ〜(泣)」といった類の通称「非リアネタ」である。新年明けて早々やバレンタイン等でも見られるが。
今回はその「定番の非リアネタ」について書く。

とは言ったものの、今更「クリスマス一人・・・」とか「リア充氏ね」等といった手垢がつきすぎて最早何なのか見えないような事を書くつもりは毛頭無い。
今回書くのはまさにそういった事だ。こういった季節になると雨後の筍、夏の羽虫のように湧いて出てくる「定番の非リアネタ」に一石を投じたい。
「ぬるぽガッ」並みの定番ネタだから何を今更とか言われても構わない。それでも書く。
変革や革新は常に真っ当でない人間の下から生まれるのだ。

さて、先ずはこういった「定番の非リアネタ」そのものについて考えてみたい。その本質は何なのか?
小生の考えるところ、「自虐ネタとして手っ取り早く笑いと共感を得られる」というところにあると思う。
試しにクリスマス等カップルがお盛んになるイベントの時に外を歩けば、あっちでいちゃいちゃこっちでいちゃいちゃとそういった連中ばかりが目に付くが、実際の所そこまでカップルは多くない。
これと町往くカップルの数が結びつくかどうかは疑問だが、参考程度に2013年の生涯未婚率は男女とも30%前後である。
というかそもそもクリスマスだろうが地震だろうが社会が普通に動いてる時点で結局殆どの人間は一人でいるか仕事しているかのどちらかなのだ。
自虐ネタとは、世間一般の「普通」から外れている連中が仲間内で「ホントそうだよな、アハハ」見たいな感じで笑いを取るネタである。
そしてここクリスマス等のイベントにおいては、世間一般の「普通」の「イメージ」からのズレ、つまり「皆恋人といちゃついてるけど俺は一人だよ」を殆どの人間が共有できると思われているのだ。
これが「定番の非リアネタ」がこれほど支持され、季節になればあちこちで散見される理由である。

では何が問題か?
事実としては上でも言ったとおり、例え恋人達がお盛んになろうと、普通は一人で居たり仕事をしている物なのだ。そして、自虐ネタの重要な要因は、「世間一般の普通と自分の普通のズレ」である。
つまり、「定番の非リアネタ」はイメージとしてはともかく、事実として自虐ネタとしての大きな要素を失っているのである。
例えて言うなら「俺達人間って空も飛べないし水中で呼吸も出来ないし不便だよな」と同じようなものだ。これでは、何が面白いのか、何を笑えばいいのかわからない。
或いは「何を今更当たり前なことを」というネタにできるかも知れないが、みんなしてやってしまえばただの阿呆だ。

第二には若干個人的な理由で申し訳ないが正直見飽きたと言うことだ。
暫く上でも言ったとおり、季節が来れば皆してこの手のネタを使い、さながら「この時間にこのネタを使ってない奴はリア充だな・・・非国民め!」といったような空気感が出来上がる。
小生は人生の大半をこの道に捧げてきたエリート(?)であるし、キリスト教徒では無い。だから、今更クリスマスなどどうでもいい。
本当に面白いネタや好きなネタでさえ何度も何度も見かければ飽きてしまうのに、ましてや何が面白いのかわからない今更過ぎるネタを見せられては、流石に食傷気味になるというものだ。
そして、こういった考えは余り見かけないだけで、少なからぬ人数と共有できるものと信じている。この点において、共感を得るという目的も失っている。

要約すれば、最早ネタとしての意味を失っていて何が面白いのかわからないし、皆が使いすぎていて新鮮味を失っている、という事だ。
勿論何かを発信する中で百発百中面白い、などということは決してありえない。何番戦時かわからない上つまらない文章の山を築く事もある。大絶賛微妙な物の山を築いている恐れのある小生が書くのも気が引けるが。
が、しかしあえてわかっていてしょうもない情報を発信することもないのではないか。弁解ではないが自然とそうなってしまうのは仕方ない。
今年から「定番の非リアネタ」、やめてみませんか。





最後に一つ、カップルたちは君らの「一人なう」みたいなのをみてほくそ笑むばかりかいちゃつく時のネタにしているぞ!多分!
悔しかったら何事も無いかのように装うんだ!最大にして最高の抵抗は何もしないことだ!
・・・え?あれもこれも皆カップル達の自作自演?独りは俺一人?
なんてこった、ピエロは俺だったのか・・・。

2013/12/2
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