梁の上から


思考実験:三億円

「一攫千金」。古くから多くの人々を魅了し、突き動かし、破滅させていった言葉だ。いつだって誰だって、楽して儲けたい。
厳密に言えば資本主義の発展がーとかプロテスタンティズムがーとかあるんだろうけど別にいいや。
ゴールドラッシュとか、油田とか、宝くじとか、その他諸々とか・・・。そういうので一山当てるって言うのもロマンがあるけど、微妙に現実味が無い。
いっそのこと全く突拍子も無い方が逆にありえるので、「突然三億円が降って湧いてくる」というシミュレーションをしてみる。

状況を設定しよう。

休日、散歩中にふと公園に寄ったらベンチにアタッシェケースが置いてあった。普段は面倒が嫌いなので無視するが、今回は気が向いたので見てみることにした。
周りに誰も居ないことを確認し開けて見ると、何と三億円が入っていた。驚きの余り家に持ち帰ってしまう。
・・・普通にこれ犯罪じゃないか。占有離脱物横領とか何とかそういうのだったと思う。やめよう。

「目が覚めたら枕元に三億円入りのアタッシェケースが!」。やっぱこれにしよう。ボトムズの「救出」回みたく本当に降ってくるのもいいけどまぁいいや。

先ず目が覚めたら置いた覚えの無い、その異質な存在に目を奪われるが、ベトナム帰りの俺は無意識の内に罠ではないかと警戒し、周囲に目を走らせる。
安全なことを確認すると、次はブービートラップの可能性を考え、ふと思い出す。NVAの残していったぬいぐるみを無邪気に拾上げ、俺の目の前で吹き飛んだあの新兵を。
俺の手は銃を求めホルスターのあった辺りをさ迷う。無い。何処へ行ったんだ?だがそこでふと気付く。
そうか、俺は故郷に帰ってきたんだった。気の緩みとともに笑いがこみ上げてきて・・・
すみません脱線しました。

取り合えず開ける。誰だってそうだろう。
そしてその内容物に目を奪われる。何せ三億円だ、死ぬまで働いたってそんな金は手に入らないだろうし。
そして思う。なぜここに?と。
全部出して見て血がついてないかとか下まで札束だよな?ってのも確認する。
一通り確認し終わったら「誰かが銀行強盗かなんかした金をこっそり忍び込んで置いていったんじゃ?」とか考える。何でって俺に罪を擦り付けて後で警察のふりをして取りに来るんだろう。
警察に見つかれば家にあってべたべた触ってしまった時点で言い逃れは出来ないし、「起きたら枕元にあったんです、本当です」なんていっても信じてくれないだろうし・・・。
しかも銀行とかから盗まれたピン札は番号が控えられてて不用意に使えないって言うし・・・。
どうしよう・・・。
取り敢えず床下にでも隠しておいて、ばれない様に控えめに生活しないと・・・。

・・・やっぱ駄目か。なぜこうなった。資格のないものが大金を持つと疑心暗鬼になっていろんな意味で死ぬって言うけど多分本当なんだろうな。
というか三億円なんて降って湧いてこないよな。普通。
調べたら一億円分の札束のレプリカなら日銀で見せてもらえるらしい。一億円かぁ。すごいな。

2013/11/17
雑記一覧へ
topに戻る
inserted by FC2 system